chinda_fall_desu’s diary

竹内豊の日記

ヒューマンコンピューターインターフェースをもっと知りたいなー

壁を個人的な空間に(コンピュータの論文を調査⑥)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"Hello.Wall -- Beyond Ambient Displays"(2003)

①どんなものか
壁を個人的な空間にした。

②先行研究と比べてどこがすごいか
・壁と人の距離に応じてエリア分けし、エリアによって異なる作用を用いた。
・ここでは相互作用ゾーン、通知ゾーン、アンビエントゾーンの三つに分けた。

③技術や手法の肝
個人的な空間と公共的な空間を定め、それによって作用を変化させる。

④どうやって有効だと検証したか
LEDを使って光のパターンをつくり、それによってインタラクションを行う、試験的な装置をつくった。

⑤議論はあるか
公共のモノで個人的な通信を行うという考えを提示した。

⑥次に読むべき論文
"Ambient displays"(1998)

(コメントいただけると嬉しいです。)

自分の影を使って画面の端を操作する(コンピュータの論文を調査⑤)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"Shadow reaching: a new perspective on interaction for large displays"(2007)

www.youtube.com
①どんなものか
影を使うことで遠距離での操作を容易にする。

②先行研究と比べてどこがすごいか
・影を遠近法ベースに変換して使う。
・新しい入力手段を提案している。
・影によって個人を特定できる。

③技術や手法の肝
実際の光源もしくは仮想的な光源によって影をつくり、カーソル入力の代わりにそれを使って入力を行う。

④どうやって有効だと検証したか
三つの異なるアプリケーションを開発した。

⑤議論はあるか
影によって物理的な身体性を維持し、遠近法によって遠距離での入力を可能にすることから、大型ディスプレイの二つの重要な問題を同時に解決している。

⑥次に読むべき論文
"VIDEOPLACE”(1985)

(コメントいただけると嬉しいです。)

公共のディスプレイで個人的な操作を(コンピュータの論文を調査④)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"Interactive public ambient displays: transitioning from implicit to explicit, public to personal, interaction with multiple users"(2004)

www.youtube.com

①どんなものか
インタラクティブなパブリックアンビエントディスプレイを作成した。
・パブリックな情報とパーソナルな情報、両方にアクセスできる。
・暗黙的な操作と明示的な操作を組み合わせている。

体の向きや画面との距離によって暗黙的な操作を行い、手のジェスチャーとタッチスクリーンによって明示的な操作を行う。

②先行研究と比べてどこがすごいか
公共的なディスプレイに個人的な情報を表示させる点。

③技術や手法の肝
画面に近づくにつれ、公共的なものから個人的なものになり、暗黙的な操作から明示的な操作になる。

④どうやって有効だと検証したか
実験を行い、実際に操作させた。

⑤議論はあるか
明示的な操作を行わずにパブリックからパーソナルに切り替える方法が必要。

⑥次に読むべき論文
"Hello.Wall"(2003)


(コメントいただけると嬉しいです。)

壁のディスプレイとの距離で表示が変わる(コンピュータの論文を調査③)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"SpiderEyes: designing attention- and proximity-aware collaborative interfaces for wall-sized displays"(2014)

www.youtube.com

①どんなものか
壁サイズのディスプレイで近接性(Proximity)を扱う

②先行研究と比べてどこがすごいか
・壁サイズのディスプレイで近接性を扱う研究がまだされていなかった
・共同で近接性を扱うシステムを使うことができる(ここでは最大四人)

③技術や手法の肝
・目を検出するアルゴリズムと深度センサを使ってユーザを追跡する。

④どうやって有効だと検証したか
被験者8人で実験

⑤議論はあるか
・通行人と画面を見る人を分けるだけでなく、画面を操作する人とそうでない人をうまく分ける方法が必要。

⑥次に読むべき論文
"Proxemic Interaction"(2010)

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大型ディスプレイに魔法のレンズを活用(コンピュータの論文を調査②)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"BodyLenses: Embodied Magic Lenses and Personal Territories for Wall Displays"(2015)

www.youtube.com


(※マジックレンズとはディスプレイ上でウィンドウをレンズのように扱い、それを通すと違ったものが見えるようにするシステムである。
www.youtube.com

⓪前回からの流れ
ディスプレイを大きくすることで
→扱える情報が増えた(表示する領域が増えたため)
→マウスに代わる新たな入力装置が必要になった(近距離ではタッチ、離れた場所ではデバイス

タッチという入力に他のメディアを挟むことで機能を拡張。今回はそこにマジックレンズを用いた。前回はスマートウォッチを用いた。

①どんなものか
・マジックレンズをマウスとキーボードの代わりに身体を使って制御する。
・レンズによって個人の作業領域をつくる。

②先行研究と比べてどこがすごいか
身体による入力の研究、デバイスと人の距離の研究、マジックレンズの研究を組み合わせた。

③技術や手法の肝
身体の動き、画面との距離によって、レンズ(ウィンドウ)を変化させる。

④どうやって有効だと検証したか
システムの実装

⑤議論はあるか
状況に適したレンズの形がまだわかっていない。
混雑した状況でのユーザ特定が正確に行えない。

⑥次に読むべき論文
“Body-centric Interaction”(2010)

(コメントいただけると嬉しいです。)

スマートウォッチで画面を操作(コンピュータの論文を調査①)

読んだ論文をまとめます。適宜修正します。

今回は以下の論文を読みます。
"Demonstrating David Meets Goliath: Combining Smartwatches with a Large Vertical Display for Visual Data Exploration"(2018)

www.youtube.com

①どんなものか
・スマートウォッチと大型ディスプレイの両方の長所を兼ね備えたシステムの開発
・二つの両極端なインタラクティブバイスの組み合わせの検討

②先行研究と比べてどこがすごいか
・そもそもディスプレイとスマートウォッチ、それぞれの研究は盛んに行われているが統合したシステムがあまり研究されていない。
・他の統合システムの研究とは異なり、水平ディスプレイではなく垂直ディスプレイを使い、少し画面から離れたときの操作を可能にした。

③技術や手法の肝
スマートウォッチとディスプレイ間を相互に作用させられる仕組みの実装。

④どうやって有効だと検証したか
実際にシステムを使ってもらい、ユーザから評価をもらい、集計した。

⑤議論はあるか
タブレット型端末の場合と異なり、スマートウォッチを使う場合、ユーザは端末を見ず、ディスプレイに集中していた。

⑥次に読むべき論文
“BodyLenses”(2015)


(コメントいただけると嬉しいです。)

ハイパーテキストの歴史

1945年、ヴァネヴァー・ブッシュは「As We May Think」という論文で理論的なプロトハイパーテキストシステムmemexを発表、提唱した。

ブッシュが想像した memex は、個人が所有する全ての本、記録、通信内容などを圧縮して格納できるデバイスであり、「高速かつ柔軟に参照できるように機械化されている」ものである。memex は「個人の記憶を拡張する個人的な補助記憶」を提供する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Memex

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1965年、テッド・ネルソンは複合ドキュメントを他のドキュメントの一部から形成する、トランスクルージョンという概念に関する論文を発表し、そこで「ハイパーテキスト」という用語を発表した。彼はトランスクルージョンを使った双方向のハイパーテキストシステムXanaduの開発を目指した。

ザナドゥ計画 (Project Xanadu) は、世界最初のハイパーテキスト開発プロジェクトである。1960年、テッド・ネルソンにより創始された。開発は長期に及び、1998年にProject Udanaxとしてソースコードを公開。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ザナドゥ計画

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memexの影響を受けたダグラス・エンゲルバートは1968年にデモでハイパーテキストを実装したシステムNLSを発表する。ハイパーテキストだけでなく、GUIやマウス操作などあらゆる技術を組み合わせた革新的なシステムを実演して見せたため、このデモは「すべてのデモの母」と呼ばれている。

NLS(oN-Line System)は、ダグラス・エンゲルバート率いる研究者チームが1960年代にスタンフォード研究所(SRI)内の Augmentation Research Center (ARC) で設計・開発した革新的なマルチユーザー連携システム。

https://ja.wikipedia.org/wiki/NLS

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そして1990年にティム・バーナーズ=リーXanaduを単純化した単方向のハイパーテキストシステム、World Wide Web(WWW)を発表する。

World Wide Web(ワールド・ワイド・ウェブ、略名:WWW)とは、インターネット上で提供されているハイパーテキストシステムである。

https://ja.wikipedia.org/wiki/World_Wide_Web

WWW は、双方向ではなく単方向のリンクを使用する。これにより、何らかの資源の所有者と連絡を取らなくてもリンクすることが可能となった。これによって WWW サーバやブラウザの実装も簡単になっているが、同時にリンク先の資源がいつの間にか無くなるという問題も発生させることとなる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/World_Wide_Web

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