chinda_fall_desu’s diary

竹内豊の日記

ヒューマンコンピューターインターフェースをもっと知りたいなー

【HCI論文】LiftTiles (2020) - 空気椅子に座る -

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"LiftTiles: Constructive Building Blocks for Prototyping Room-scale Shape-changing Interfaces"(TEI 2020)

www.youtube.com

動画の疑問点
・タイルの側面はどうなっているんだろう?
・タイルの上面を水平に保つ事はできるのだろうか?

どんなもの?

・空気圧で動く2.5次元ディスプレイを用いた部屋規模のインタラクション装置
・簡単にプロトタイピングが行えるように設計

先行研究との違い

・近年、体全体を用いた形状変化ディスプレイが提案されているが、法外なコストがかかる
・LiftTileはそのようなディスプレイのプロトタイピングのためのツール

実装

・チューブにばねを取り付けることで、チューブの動きを制御する
・チューブに板を取り付けることで座ったり、乗ったりできるようにしている

検証方法

・既存の形状変化ディスプレイを参考にサンプルアプリケーションをつくることで、この装置のプロトタイピングのしやすさを主張

議論

・空気圧アクチュエータを囲う機構が不安定
・膨張、圧縮にかなり時間がかかる(完全に膨らませるのに16秒、完全に圧縮するのに4秒かかる)
・ユーザ入力を行える機能が備わっていない
・高さをトラッキングする必要あり

関連

答え合わせ

・タイルの側面はどうなっているんだろう?
→望遠鏡のように層をつくり、一層ずつ側面が表れる

・タイルの上面を水平に保つ事はできるのだろうか?→不安定

気になる関連動画

www.youtube.com

エアバッグで恐竜を表現(コンピューターインターフェースの論文を読む No.59)

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"TilePoP: Tile-type Pop-up Prop for Virtual Reality"(UIST 2019)

www.youtube.com


動画の疑問点
・変化にどれくらい時間がかかるのだろう?
・畳んだとしてもそれなりに厚さがありそう

どんなもの?

体全体でインタラクションを行える大きさの、空気圧で動く、タイル型の2.5次元ディスプレイ

先行研究との違い

VRに使われる触覚提示はほとんどが手くらいのサイズ
・体全体でインタラクションを行うものは一般的に静的か、人のサポートが必要

これらに対し、このTilePoPは
・体全体でインタラクションを行え、形状が変化する

実装

3x3にタイルを並べ、それぞれのタイルには3つのエアバッグがついているため、計27個のエアバッグを使う
エアバッグは3cmから30cm程度に変化する
・Inverse Kinestheticモデルを使用して、全身をトラッキングする

検証方法

・被験者に二つのデモアプリケーションを体験させた
・被験者の感想によって評価した

議論

・膨張、圧縮の速度はエアタンクの体積とエアポンプの力に依存する
・表現できる形状は2.5次元に制限され、水平方向に動かすことはできない
・ユーザはTilePoPの上には立てない


関連

答え合わせ

・変化にどれくらい時間がかかるのだろう?
→ 膨張に5秒、圧縮に20秒かかる(結構かかるね)

・畳んだとしてもそれなりに厚さがありそう 
→ 1つのエアバッグあたり3cm、三つ重ねるので9cm

似てる研究

空気圧を用いたディスプレイ
chindafalldesu.hatenablog.com

VRに合わせて家具を動かす(コンピューターインターフェースの論文を読む No.58)

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"RoomShift: Room-scale Dynamic Haptics for VR with Furniture-moving Swarm Robots"(CHI 2020)

www.youtube.com
動画の疑問点
・下記の二つの機能があるのかな?
 ・触覚提示のために、VR上での人の動きに合わせて、自動的に実世界の物体を動かす(VR上の物体の大きさや数 > 実世界の物体の大きさや数)
 ・ユーザのVR上での物体の移動操作に合わせて、実世界の物体を動かす(VR上の物体の大きさや数 = 実世界の物体の大きさや数)

・「Walking and Exploring」と「Teleporting」の違いはなんだ?


どんなもの?

部屋規模のVR空間の物体に触覚をもたせる。そのためにロボット群を用いて、実世界の物体を動かす。

先行研究との違い

ウェアラブルバイスによる触覚提示よりも没入感が高く、再現する範囲も部屋全体と広い。
またTilePoPのような床を変化させて部屋全体の触覚を提示する方法に比べて、速度、自由度の点で優っている。

実装

・Rumbaにシザーリフトを取り付け、家具を運べるようにしている。
・20台のIRカメラを使って、モーショントラッキングを行う。

検証方法

・4つの物理的な椅子と2つのユーザに合わせて移動する椅子の間に認識における違いがあるかを実験によって評価した
(つまり VR上の物体の数 > 実世界の物体の数 でも問題がないかを確認)

議論

・今回用いたロボットの性能によって下記の制約が生じた
・家具を持ち上げて運ぶため、家具の形に制約がある
・全方向移動ロボットでないため、向きを無視できない
・運べる重さに制約がある

・ドローンなど他のロボットを活用すれば、表現の可能性が広がる


関連

答え合わせ

・「Walking and Exploring」と「Teleporting」の違いはなんだ?
→前者は実世界でのユーザの動きに合わせて、物体を動かす。後者は仮想世界での瞬間移動に合わせて、物体を動かす。

感想

・ロボット群がそれぞれ一つの家具を持つのではなく、一パーツだけ持ち、それらを組みあわせて家具を組み立てるようにプログラムすれば、柔軟性、速度が向上しないかな
・encounteredtype hapticsって何だ?
→状況に応じてデバイスの形を変えることで提示する触覚のことか

似てる研究

ロボット群を使った研究
chindafalldesu.hatenablog.com
chindafalldesu.hatenablog.com

【HCI論文】SpaceTop (2013) - 3D空間にウィンドウを配置 -

今回の論文

"SpaceTop: Integrating 2D and Spatial 3D Interactions in a See-through Desktop Environment"(CHI 2013)

vimeo.com

どんなもの?

・既存の2Dインターフェースと3Dインターフェースを融合
・一般的なコンピューターのようなタイピングやクリックの機能と、3Dで浮かぶオブジェクトを手で動かす機能を有する

先行研究との違い

・これまでに発表された2Dと3Dを組み合わせたインターフェースはすべて3DCADの操作に焦点を当てている
・それに対して、この研究は文書の操作などの日常的な利用に焦点を当てている

実装

・2台の深度カメラを使う
・一つは顔を追跡し、一つは手を追跡する
・HoloDesk #1では「ペッパーズゴースト」手法を利用しているが、SpaceTopは透明ディスプレイ #2を使っている(透過率は20%)

検証方法

・2Dと3Dのインタラクションを切り替えるタスクを与え、かかった時間、精度、アンケートによって評価
・テキスト処理(検索やコピー)のタスクを与え、感想を聞いた

議論

・単視ディスプレイの代わりに立体視ディスプレイを用いるのはどうか
・人間工学に基づいて設計すればより使いやすくなる

関連

似てる研究

2Dと3Dを組み合わせた研究(3DCADが主な用途)
www.youtube.com
www.youtube.com

脚注


#1. HoloDesk: Direct 3D interactions with a situated see-through display (2012)
chindafalldesu.hatenablog.com


#2. 透明ディスプレイ
panasonicはこういうのを出している
channel.panasonic.com
sharp
corporate.jp.sharp
透明ディスプレイの仕組み
japan.cnet.com

ゲルで押し込むを検知する2.5次元入力デバイス(コンピューターインターフェースの論文を読む No.56)

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"deForm: an interactive malleable surface for capturing 2.5D arbitrary objects, tools and touch"(UIST 2011)

どんなもの?

・押し込むを検知する2.5次元入力デバイス
・光による3dスキャンで測定
・invisible projection でインターフェースを作る

先行研究との違い

・3dキャプチャによる入力にはフィードバックがない
・Illuminating Clayは起伏を検知するためにカメラをデバイスの上に配置するため、ユーザの手がスキャンを妨害する
・ある研究では手やコントローラにマーカーが必要

という問題に対し、deFormは
・フィードバックがある
・押し込みを検知することで、カメラをデバイスの下に配置できる
・マーカーが不要

実装

・透明なゲルの上面に灰色の塗料を塗ることで、下から検知する際に、上面の形状をキャプチャできる
・入力検知には三相構造化光スキャン技術を利用

検証方法

いくつかアプリケーションを作成した
6自由度マウス、彫刻アプリ、おもちゃを使ったアプリを作成

議論

・入力範囲と解像度がトレードオフの関係にある
・今回用いた時分割多重ではタイムラグによってエラーが起こりうる
・今回のシステムはカメラとプロジェクターを使うため、垂直方向に広い空間が必要
・ゲルは劣化する

関連

余談

PPIってなんだ?
→pixels per inchの略、つまり解像度のことらしい

似てる研究

Illuminating clayも粘土を使った入力デバイス(だけど上にカメラがあるから手が邪魔)
chindafalldesu.hatenablog.com

下にカメラを置いたデバイス(LEDをうまく活用)
chindafalldesu.hatenablog.com

Visuo-haptic 錯覚によってピンディスプレイを改良(コンピューターインターフェースの論文を読む No.55)

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"Visuo-Haptic Illusions for Improving the Perceived Performance of Shape Displays"(2012)
www.youtube.com

どんなもの?

錯覚を使って、触覚デバイスの欠点を補助する。
触覚と視覚の情報が衝突したとき、視覚の情報が優先されることを用いた錯覚 (Visuo-haptic 錯覚)を利用する。

先行研究との違い

Visuo-haptic 錯覚をピンアクチュエータの改善に利用している。

実装

1. 解像度の低さを解決
→・角度を解像度の低い斜め方向から水平方向に変換する
・仮想世界の指の動きの方向を変えることで、錯覚を生み出す

→・仮想世界の物体をピンアクチュエータ上では大きく表現する
・仮想世界の指の動きの移動量を減らすことで、錯覚を生み出す


2. ディスプレイのサイズ
→・再描画を行うことで描画範囲を広げる(一つにつながっている物体は表現できない)

→・仮想世界の物体をピンアクチュエータ上では小さく表現する
・仮想世界の指の動きの移動量を増やすことで、錯覚を生み出す(ただし、1でわかるように解像度が低下する)


3. ピンの速度
→・仮想世界の物体をピンアクチュエータ上では速く表現する
・仮想世界の物体の速度を上げることで、錯覚を生み出す

検証方法

視覚と触覚の錯覚によって混乱が起きない閾値を定める実験を実施

議論

・手全体を高精度にトラッキングするシステムがないため、指一本でのインタラクションしか行えなかったが、手全体を使っても同じことが言えるか
VRの世界で触られる可能性が高い箇所を特定するアルゴリズムが必要
・検証による評価結果はディスプレイサイズ、解像度に影響を受ける
・手法間の依存性を理解する必要がある
・空気圧作動式ディスプレイの場合はどうか

関連

わからなかったこと

Encountered-typeってなんだ?遭遇型?
exploratory senseってなんだ?探索的感覚?

AR上での3Dスケッチを2Dスケッチで補助(コンピューターインターフェースの論文を読む No.54)

読んだ論文を自分なりに整理してみます。

今回の論文

"SymbiosisSketch: Combining 2D & 3D Sketching for Designing Detailed 3D Objects in Situ"(CHI 2018)

www.youtube.com


疑問点
・表面の形を指定して、そのデザインを2Dで描画するのかな?
・オブジェクトの表面をどうやって指定するのだろう?

どんなもの?

AR上の3D描画を補助する技術。
3Dオブジェクトの表面を、タブレットを使って2Dで描画する。

先行研究との違い

・3Dスケッチは正確性に欠ける
・2Dスケッチで深度を理解して、描写することは困難
・3Dスケッチは細かい描画が困難

先行研究ではこれらの問題点を抱えているのに対し、SymbiosisSketchは
・3D表面を作成できる
・細かい入力が可能
・楽な姿勢で描画できる

実装

3D平面の描画
・6自由度モーショントラッキングを備えたデジタルペンを使う
・このペンで3D上にキャンバスを生成
タブレットで描画
・それをキャンバスへ射影

作業スペースを自由に設計
・頭から発せられる光線とペンから発せられる光線を使い、3D空間上の点を指定
・これを用いて、2点を指定することで、立方体を作ることができる
・これを使って、作業スペースの位置、大きさを自由に設定

検証方法

・被験者にタスクを与え、タスクの完了時間と描画されたストローク数で評価
・被験者に自由に作品制作を行わせ、そのフィードバックを得た

議論

・描けない平面が存在する(球とか)
モーションキャプチャーを用いた今回の構成は実用的ではない
・編集が容易に行えない


答え合わせ
・表面の形を指定して、そのデザインを2Dで描画するのかな?→〇
・オブジェクトの表面をどうやって指定するのだろう?→デジタルペンで指定